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残酷で美しき世界の中で
第2章 始まり
『ごめん、でも急いで逃げなきゃ…!』
暗闇の中その声だけが響き渡る
『逃げなきゃ!』
《分かっている》
少女が乗っているのは狼──
怖さを振り切るように少女は狼の背中に縋り付く
「見つけたぞ!」
『っ!』
少女の後ろからは馬の足音と兵隊の声
《もし逃げ切ったら…あの馬食っていい?》
『ダメに決まって…!』
バンッと銃声音に驚く
《捕まってろ…狼はな…獲物に喰らいつくのが当たり前なんだよ》
少女の頭には何故?どうして?の言葉しか浮かんで来ない
『私が何を…』
したと言うの?
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