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【短編集】ブーゲンビリア【R18】

第5章 不良


 本の虫。成績優秀で、男に媚を売っている。なんて、言われるのにも、そろそろ慣れたし、飽きてきた。そんな事は、割とどうでもいいし。実際、本が大好きだから、学校の図書室はすごく好き。静かだし、厄介な人は近寄らない場所だから。
「なのに、なんで信也は居るのよ……?」
「いいじゃん、別に。幼馴染の目の前に居たって」
 私と信也は、家が隣同士、親が同級生で親友同士、お互いの部屋が直線距離で一メートルも無い。そんな腐れ縁。物心付いた時には、いつも傍に居る存在。
 ただ、中学二年の時に、信也のご両親が事故で他界してから、不良となり、毎日生傷が耐えず、学校もサボリがち。たまに、学校に来たと思えば、何故か図書館に入り浸りサボっている。ちなみに、授業に出ていないのに、成績は学年トップクラスをキープしているから、少し憎らしい。
 今も、放課後にクラス委員の仕事を終えて、図書館に来て本を読んでいたら、いつの間にか目の前に座っていた。気づかないうちに。
「……はい、これ」
 顔に真新しい引っかき傷を見つけ、絆創膏を差し出す。痛々しいからやめてほしいな。毎日絆創膏を鞄に入れる癖まで付いてしまった。
 だが、信也は、絆創膏を受け取ろうとしない。
「貼って?」
「……顔、こっち寄せて。届かない」
 仕方なく、テープを片側外し、近づいた綺麗な顔へ絆創膏を当てると、もう片方のテープも外し貼り付ける。貼り終えると、満面の笑みを浮かべた。
「さんきゅ」
「……うん」
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