第4章 ポーカー
目が覚めると、私は、ソファで毛布をかけられ、衣服を着た状態で横になっていた。あれは夢だったのかな……? 仕事しよ。
ゆっくり起き上がり、鏡代わりに書類棚のガラスを使いながら、髪を結わえなおす。何だか、長くて変な夢だったな。まさか、私があんな夢を見るとは思わなかった。疲れていたのかな?
髪も結わえなおし、残っている仕事が無いか、デスク周りを確認する。ふと、自分の右手の薬指に目が留まった。
「!?」
身に覚えの無い指輪。
「やっと気付いた?」
「主任!?」
「そうだね、仕事してる時は、それでいいけど、まあ、ここ、二人だけだし、名前がいいな」
夢じゃ……ないっ!?
主任は私を抱きしめ、そのまま、自分の席の椅子へ座る。必然的に、膝の上に座る私。
「奏の仕事場はここにしようか……俺の膝の上」
「恥ずかしいからだめですっ!」
「あ、問題はそこなんだね」
「しりませんっ!」
私は腕を振りほどき、立ち上がるが、再び腕を引っ張られ敢え無く膝の上。先程よりも強い力で抱きしめられた。
「カジノのバイトは禁止ね」
「……」
「返事」
「……はい」
「うん、いいこいいこ」
頭をなでられるのが心地よくて、ゆっくりと目を閉じた。
~Fin~