第16章 あざみ味
"パタパタパタッ…"
雫
「………」
佐藤さんは拓巳くんを抱えたまま走ってきた。
(…やっぱり優しい人だ……)
佐藤
「ハァハァ…ごめんね末吉くん!
拓巳くん連れてきたから……💦」
佐藤さんは拓巳くんを下に下ろした。
拓巳
「なんだよ!お前…ずぶ濡れじゃんか!!!
"俺の身体"が風邪ひいたらどうすんだよ!!
早く家の裏に回れ!!!」
四つ足でピンと立ち、
腹から声を出して怒鳴る拓巳くん。
僕とは違った気迫で犬に動揺を与える様は、
頼もしい犬にしか見えない。
(でも家の裏ってどう言う……)
末吉
「あ、ありがとよ!!
テメェー、俺の身体持ってっし、
まるで血の分けた兄弟みてぇーだし!!
暫くは兄貴って呼ぶワン!!」
拓巳
「そんな事より早く裏に回れって!!
ついてきな!!」
そう言うと拓巳くんも犬がいる
雨が降る外へ飛び出した。
末吉
「お、おう!!ついて行きますワン!!
つーか兄貴!めっちゃ毛艶良いッスね!!!
ポクが管理してた時は野獣臭いバザバサな毛並みだったのに…
つーか兄貴!!
なんで家の中じゃなくて家の裏に行かなきゃいけないで…」
拓巳
「うるさいな!
"俺たち"の"自宅"はこっちなんだよ!!!」
末吉
「あー!分かりやした!離れってことっすね!
あー理解!完璧理解ワン!!」
2人は家の裏へと走って行った。