第9章 バナナ味
【豆助と衣墨(いすみ)視点】
衣墨
「…フンッ…いけ好かねー…。
やっぱ…"びゃく"の匂いがプンプンする女は一味違うってか!?」
豆助
「ワタクシめ、せっかくの珍味にありつけられると
胸を弾ませておりましたと言うのに……
同じ穴のムジナの衣墨様に足を引っ張られるとは…
青天の霹靂…とでも言わせていただきますです。」
2人は逃げていく佐藤の姿を見ている。
衣墨
「同じ穴のムジナ?
笑わせんなってんだよ!!
年がら年中青臭いテメェとは一緒じゃねえ。」
豆助
「…一緒でございますです…
ところで衣墨様…
その酒臭い口腔から、
忌々しい名前が吐かれた気がしたのですが…
今回の見合いには来られるのでしょうかね。」
衣墨
「さあな…ここの数百年来たことのない奴だぞ?
来るわきゃないだろうな。
奴は子孫繁栄なんて馬鹿らしいものに重きはおかねぇ
ただひたすら地獄に送られてくる人間どもの監視と、
門の警備にしか興味はないさ。
つーかてめぇー、
可愛い顔して性格悪いのな。」
豆助
「貴方様ほどではないですます…
ではワタクシめは…
クソ不味い妖怪の女を引っ掛けに行きますゆぇ…これにて…」
豆助は、
小走りになりながら衣墨の側から去っていった。