第1章 藤紅之紫陽花
ピ~ヒャラピ~ヒャラ
テンツクテンツク...
(政宗にフラれたんじゃ、も傷付いただろうな。俺が慰めてやらないと)
「ほーら。はぐれるから手繋げ」
「大丈夫だよ。秀吉さん背が高いから見つけてくれるし」
がニコッと笑う。
差し出した手をサラリと躱して、屋台へと小走りに向かう。
「っ、おいおい」
(仕方ないな。まぁ、照れ隠しもあるんだろ...。焦ることないか)
チリンチリン―――
涼しげな音を奏でるいくつもの風鈴を、キラキラした目で見つめるに追い付いて、好きなのを買ってやる、と告げる。
「えー.....でも、悪いよ」
「でも欲しいんだろ?」
しばし悩んでコクリとが頷く。
「どれがいいんだ?」
「みんな可愛いから選べなくて....」
どれで悩んでいるのかを聞き出し、ほしい柄を全部買ってやる。ぶら下げた風鈴がぶつかって割れないように気を付けながら、と次の屋台を目指した。