第5章 甘い報告書▽浦原 喜助
「はぁ…っ…はぁっ」
「少し休憩にしましょうか」
口元で広げていた扇子をぱたんと閉じた喜助の一言で休憩を取ることになり、目の前にどかっと腰を下ろしたオレンジくんを見れば、ツインテールちゃんから水を貰い彼の隣に腰を下ろす
「はい、お疲れ様」
水を受け取るとお礼を述べて、ごくごくと喉を鳴らして飲む彼の横顔を見詰める
「君…黒崎さん?は、もっと強くなれますよ」
「ん、え?」
「強くなれる。……何の為にその刀を持つのか、その為に何が必要なのか考えてください。きっと、これからの喜助との訓練で…分かります」
「…おう。ありがとな、付き合ってくれて」
「はい。…尸魂界に来る際は、少しだけご尽力いたしますよ」
彼と話してから、喜助の元へ行き隣に腰を下ろす
「ありがとうございました」
「ううん、良いよ。楽しかったし…彼はまだ強くなるね」
「はい。おかわり…ありませんか?」
今日の彼はいつもよりおちゃらけていないな、なんて呑気に考えていたのをやめて隣に微笑む
「かわってない。喜助もかわってないみたいだね」
「そうッスね、全く。……あぁ、でも…こっちに来てからかわった事もあるんスよ」
何だろう、と思って彼を見詰めて続きを待つ
「まぁ、厳密に言えば…気付いた事なんスけど。…千穂サン、ボクは貴女が好きなんです」
「………へ」
嘘。彼が私を…?
ぎゅっと彼の白く綺麗な片手を両手で包み込む
「私もっ…私も喜助が好き…!」
現世には調査できたけど…違う報告書を書けそう
私の言葉に優しく口角を上げた喜助が緑と白の帽子を取り、私の頬に当てる
「……?」
「隠さないとうるさいッスからね」
理解して笑ってしまえば、ゆっくりと彼の唇が私のそれに重なった
「好きですよ、千穂サン」
唇が離れて囁かれた声はいつもより色っぽくて恥ずかしかったけど、嬉しかった
オレンジくん…いや、黒崎さんの勉強に付き合ってなかったらなかった事だっな…
ありがと、黒崎さん――…