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▽BLEACH▽それぞれの恋

第4章 満月の日に▽吉良 イヅル




「乱菊さーん…もう少しぃ」


「駄目ですよ。ほら、お水」


「あれ、乱菊さん…?」


「違います」


……じっと乱菊さんが居た筈の場所を見ると、そこには目元を覆う白っぽい黄色髪と綺麗な青い目…


「イヅ…っ、イヅルくんっ?」


目の前の彼が小さく頷いた


「乱菊さんから連絡もらって、迎えに来ました。歩けますか?」


「迎えって…」


「歩けないのなら、背負います」


私の混乱なんて無視して勝手に会話を進めていく彼に、おろおろしてしまう


「…取り敢えず、出ましょうか」


そう言って手を引いてくれる彼に素直に従って、外に二人で出る


「はい、どうぞ」


目の前で私に背中を向けて、しゃがむ彼を見て慌てて遠慮する
が、有無を言わさぬ視線を感じて大人しく彼の背中に身を委ねた


「ご、ごめんね…ありがとう」


「良いですよ」


「……イヅルくん」


今、なのかな…良いタイミングって
だけど、そんな私の呼び掛けは彼の言葉に飲み込まれた


「あの、他の人に…こんな事をさせないでください」


「え?」


「僕だけに…してくれませんか。こうして、貴女を迎えに行くのも背負うのも」


「あの、それは…イヅルくんが迷惑なんじゃ…」


「そんな事ないです。……好きな人、ですから」


ぼそっと告げられた言葉に思わず固まって、復唱してしまう


「好きな人…」


「はい、好きなんです。千穂さんが」


「え、でも雛森さんは…?」


「雛森くん?…彼女は良き友人です」


その言葉に安心した私は


「……。私も…私もイヅルくんが、好き」


嬉しかった。
顔は見えなかったけど、赤く染まっている耳を見れただけで満足だった


思わず肩を掴んでいた手を前に回して、ぎゅっと抱き着いた


「帰ったら、ちゃんとお水…飲んでくださいね」


さっきより優しい声色で呟かれたそれに、私は素直に頷いた


「あ、イヅルくん見て。満月」


「本当だ。……綺麗ですね」


「うん、イヅルくんと見られて良かった」


「僕もです」



――――…大好きだよ、イヅルくん





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