第3章 そんな貴方でも▽京楽 春水
「そうだ、修兵。お茶飲も、お茶!」
「はぁ、構いませんが…」
「ちょーっとごめんよ、それは駄目だなぁ」
その声と共に力強い腕に引かれて、いつの間にか現れた人物…京楽隊長の腕の中にいた
「彼女、もらってって良い?」
「はい」
「駄目だよ、千穂ちゃん。他の男に抱き着いちゃ」
「春水さんは日々、女の子じゃないですか」
「えぇ?そんな事ないよ」
「ありますよ。まぁ、今更それをどうこう言うつもりはありませんけど…妬くか妬かないかは別物ですからね!」
びしっと指をさして力強く告げた
「あぁ…駄目だよ、そんな可愛い事を言っちゃ」
「え?」
唇に何か触れるのと同時に見えたのは彼が羽織っているピンクの着物
あぁ、私…今。
「僕以外に君の可愛い所を見るのは嫌だなぁ」
「何ですか、それ。自分ばっかり…狡いと思いません?」
「んー…ちょっと」
間近で笑む彼から目が離せるわけもなく
「あんまり他の人ばかり見ると、抹茶を差し入れしますよ?」
「えぇ?それは嫌だなぁ」
「じゃあ、少しで良いから私の事も視界に入れてください」
「いつも入れてるよ?」
「抹茶」
「嘘じゃないよ。本当に…僕が好きなのは千穂ちゃんだけだよ」
じっと見詰めていると、思わず笑ってしまい
「酷いなぁ、笑うなんて」
唇を尖らせる彼を見詰めたまま
「大好きです、春水さん」
私は彼のこの笑顔と喋り方、性格…つまりすべてが好きだ。