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スローダンス【アイナナ/R18/百/天】

第5章 ボクはキミを




ゼロアリーナの総支配人が見に来たIDORiSH7のLIVE――そこで陸は体調を崩し、アンコールに出ることができなかった。

少し不安は残ったようだが、一織のフォローもあってこけら落としの中日は無事IDORiSH7に決定。
そしてマネージャーの提案で、一時的にセンターを一織に変更することに。けれど、陸の調子は一向に戻らなかった。



* * *



陸のことを心配に思いながら、零が収録を終え携帯を見てみれば、天から着信が入っていた。

あの事件以来、天とはなんだかんだ毎日他愛もないラビチャを繰り返していたが、電話がかかってくるのは初めてだ。


『天から電話なんて珍しい……何かあったのかな』


独り言をつぶやきながら、零は天に電話をかける。prr...とコールが鳴れば、すぐに懐かしい声が聞こえてきた。


≪もしもし≫

『電話でれなくてごめんね、今収録終わったよ!急に電話なんて、どうしたの?』

≪……用がなくちゃ掛けちゃいけない?≫

『え、いや。そんなことないし、嬉しいよ』

≪……そう≫


天のそっけない反応に、しばしの沈黙が流れる。先に沈黙を破ったのは、天だった。


≪今日、これから寮に帰るの?≫

『うん、帰るよ。なんで?』

≪じゃあ、少し寄らせてもらう。陸にも言いたいことがあるし≫

『え、本当に?陸、喜ぶよ!』

≪……どうかな。お土産、何がいい?≫

『喜ぶに決まってるでしょ。あ、王様プリンがいい!!環くんが王様プリン大好きだから!』

≪わかった。じゃあ王様プリン買っていく≫

『やった!ありがとう!』

≪うん。……あとで会えるの楽しみにしてる≫


零が『私も』と言おうとした瞬間、プツッと電話は切られてしまった。


『あれ、切れてる……』


電話を切られてしまったスマホを見つめていれば、コンコン、とノック音がした後に扉が開いた。


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