第3章 交錯する想い
――翌日。
零は社長と万理にこっぴどく叱られた。
けれど2時間にも及ぶ説教の後、二人とも無事に帰ってきたことを泣いて喜んでくれた。
社長たちに話したことを、百と天にも電話で報告してから、二人に改めてお礼を言った。
自分は、本当に周りの人に恵まれているのだ、と深く実感する。自分の愚かな行動のせいで、百と天にまで迷惑をかけてしまった。二人には本当に、感謝してもしきれない。
幾ら考えても、その感謝に匹敵する恩返しなんて思いつかなかった。
そんなことを考えながら、久しぶりに部屋でぼーっとしていれば、ラビチャの通知音が鳴った。
誰だろ、なんて考えながら携帯を手に取れば、「九条天」という文字にびっくりする。
『……そうだ……昨日百に無理矢理交換させられたんだ』
どきどきしながらラビチャを開くと、そこには天らしいシンプルな文章が並んでいた。
<さっき電話で言い忘れたけど、恩義なんて感じないで。迷惑だから。>
『あはは、迷惑って……天らしいや』
文字を打とうと指を動かしていれば、続けて天からラビチャが送られてきた。
<それと、これからは百さんばっかりじゃなくてボクのことも頼ること。いいね。>
天の優しさが、じんわりと胸に沁みる。
――てっきり、嫌われているのだと思っていた。
けれど。
そういうわけでもなかった・・・と、思い上がってもいいのだろうか。
そんなことを、思いながら。