第18章 奏でるモノクローム
『今日もお疲れ様でした!』
一日の仕事を終え挨拶をすれば、控え室で待っていた万理がにこやかに笑う。
「お疲れ様。今日も頑張ったね。一回帰ってから向かう?それとも、このまま――」
『あ……。私、今日はやめておきます……』
零の返答に、万理はきょとん、としてから眉根を寄せた。
「なんで?四人で飲みに行こうって、約束してたじゃないか」
今日は、前々からRe:valeの二人と万理と零の四人で飲みに行く約束をしていた日だった。万理の問いに零は苦笑しながら続く。
『……でも、新旧Re:vale水入らずで話せるチャンスですし…私がいたら気を使わせてしまいますし』
「そんなことないよ。零ちゃんが来なかったら、百くんも千も寂しがる。零ちゃんが気を使う必要は――」
『気を使ってるわけじゃないんです!!三人で色々話して欲しいって前々から思ってたし、男同士の場って、大切だと思うから!』
「………でも」
『急にごめんなさい…。百と千ちゃんには私からちゃんと連絡いれておきます。万理さん、ゆっくり楽しんできてください!』
「……零ちゃん……」
万理は心配そうに眉を下げながら零を見つめて、やがて言いづらそうに口を開いた。
「……。……プライベートな事を聞くようで悪いんだけど…。…百くんと、何かあった?」
万理の問いに、零の肩がびくりと揺れる。
先日ツクモの社長とスタジオで出くわした時も、どこか百と零の様子がおかしかったことに万理は気付いていた。
『え……いや、何もないですよ!いつも通り、っていうか』
「…でも、ここ最近全然二人で会ってないよね?勿論お互いフレンズデイを控えてて忙しいっていうのもあるんだろうけど…」
『忙しくて、会う暇がないだけです!TRIGGERの穴埋めでRe:valeのところにも仕事倍増してるみたいですし』
「………」
『心配しないでください!百とは、変わらず仲良しの友達ですからっ!』
笑顔でそういう零に、万理は違和感を覚えた。
しばらく間を置いてから、おそるおそる尋ねる。
「……友達?」