第1章 泡沫のトロイメライ
《も~、それが更に心配なんだよ!見知らぬ男たちと一つ屋根の下だよ!?男はみんな狼なんだぞ!ガオー!!》
『あのねぇ…、同じ事務所のアイドルだよ?聞いた話じゃ最近売出し中の子たちみたいだし、心配するようなこと何もないでしょう。もういい?じゃ、切るからね』
《あ、ちょっ!零―――!?》
通話口から聞こえる必死の叫びも虚しく、容赦なく通話終了のボタンを押した。
再び煩く鳴り始める携帯をマナーモードにしてから、零は再びベッドに潜る。
全く、心配性で過保護な性格はどうにかならないものだろうか。彼にはもう少し、"「Re:vale」の百"だということを自覚して欲しいものだ。今を時めく超人気アイドルが、こんな明け方に同業者のマンションを訪ねようなんて、無用心にも程がある。
まぁ、そんな芸能人芸能人していないところも彼のいいところの一つなのだけれど。
零はそんなことを思いながら、再び瞼を閉じた。
もしかしたら、さっきの夢の続きが見れるかも――なんて。
淡い期待を、胸に抱いて。