第12章 未完成な僕ら
『どうしよう、超楽しみ!』
「オレもオレも!!会場は!?ユキの家!?ユキの家ステージにしちゃう?」
『賛成!千ちゃんの家で、めっちゃキンブレ振り回す!』
「……やめてよ…ただでさえ二人ともいつも汚して帰るんだから……。それより君達、仲直りはしたの?」
「『え?』」
きょとん、としながら顔を見合わせる百と零。
お互いの瞳は真っ赤に充血していて、瞼は重たく腫れている。
『うわ、百ぶさいく!』
「ぶさいくなモモも愛してよ!」
「……君達は不器用なんだから、隠し事なんてしちゃ駄目なんだよ。馬鹿だな」
「『それユキ/千ちゃんが言う!?』」
「僕には秘密なんてないけど」
「そこじゃない!」
三人の笑い声が、いつまでも夜道に響いていた。
止まっていた時間が流れ出す。
いや、きっと。
あの日から、本当は止まってなんかいなかったんだ。
あの歌の続きも。夢の続きも。
過去の思い出は、いつまでも色褪せないアルバムの中の写真みたいに。
大切な一ページに、そっと仕舞って。