第6章 声を聞かせて
零の言うことなんて無視して、百はいただきまーすと元気よく言いながらダークマターをどんどん口に運ぶ。
「んー!見た目はヤバイけど、味は超うまい!零、やっぱり料理のセンスはないけど、才能はあるよ?だから、また作ってね。絶対」
そう言って、百は嬉しそうに笑った。
そんな百の顔をじっと見返してから、零はぷいっと顔を逸らしてから小さく呟く。
『………ばか』
照れたように言ってから、零も椅子に座って食事を始める。
そんな零を眺めて、たまらなく幸せな気分に浸りながら。
―――今日こそは、声が出ますように。
零が一生懸命してくれたことに、ちゃんと応えられますように、と。
心の中で、ただただそう願った。