第69章 愛しい人へ。
=花宮side=
年越しなんて、たいしていつもの夜と変わらねぇ。
母親は実家に帰り、父親は仕事仲間と年を越すらしい。
俺も母の実家に誘われたけど断った。
猫かぶりしながら年越しなんてまっぴらだしな。
寝る前になんか飲むか。
キッチンの棚をあけてインスタントコーヒーの瓶に手をのばす。お湯を沸かそうとポットの近くにいくと
花宮「これ・・・」
母親がいつも飲んでる紅茶のパックが目に入った。
・・・ハーブ、か。まぁ悪くねぇ。
瓶を棚に戻し、お湯が沸くのをソファーに座りながら待つことにした。
・・・紅茶か。いつから飲むようになったんだか。
俺は断然コーヒー派だ。というか飲み物の中でと言ったらコーヒーが一番ともいえる。
その俺が紅茶を飲むようになった。紅茶を飲む回数も増えるようになった。
・・・小倉、あの女のせいだな。
あいつが持ってくる紅茶の葉は嫌いじゃねぇ。
それと同時にあいつのことも嫌いじゃなくなってきた。
・・・別にすきでもねぇけど。
好きじゃねぇよ。あんな奴。
面倒くさいし泣き虫だし天然バカ。
俺のタイプとは大きくかけはなれてる。
付き合う気もさらさらねぇ。・・・けど。
あいつが、小倉が、他の奴ともし付き合うって言うなら
奪ってやる。付き合いたいとかそんなんじゃねぇよ。
俺のもんにしたいだけだ。他に理由いらねぇだろ。
pipipi
花宮「・・・メール?」
開くとそのあいつからだった。
花宮さん、ちゃんとご飯食べてますか!?
年越し蕎麦もちゃんと食べないと駄目ですよ。
ご両親がいるかもしれませんが、心配で一応メール
しました。明日会いましょうね。楽しみにしてます♪
では!!
・・・お前は俺の母親かよ。
花宮「ったく・・・」フッ
・・・!! い、今俺・・・本気で、笑って、た・・・?
待て待て。ありえねぇ。これはいくらなんでもないだろ。
こんなことあってたまるか。
そうだ、俺はあいつのことなんか全然好きな訳じゃねぇって。笑う必要なんかねぇんだよ。
そうだそうだー・・・。
俺は朝になるまでそんなことを考えてた。
ほかの事を考えようとしても頭から離れなかった。
年が明け、太陽の光が窓から差し込む。
あー・・・これ完全無理だ。
認めたくねぇけど、もってかれた。←
・・・くっそが。