第33章 道標
馬をリフトで下ろしている最中、エルヴィン団長が声をかけてきた。
「ラウラ、君は体調は大丈夫か?」
「はい!問題ありません!」
「そうか、それは良かった。昨日から働き詰めにさせて済まない。もう少しだから、頑張ってくれ」
「もちろんです。絶対に…エレンを取り返しましょう」
「あぁ。それと、リヴァイが君のことを心配していたよ。こんな時に言うのもアレだが、彼は君のことを誰よりも大切に思っている。絶対に死なずに戻ってやってくれ」
「は、はい…!」
エルヴィン団長の言葉に、私は敬礼して頷いた。でも…今の言葉は、どう受け取ったらいいのだろう。まるで兵長が私のことを特別に想ってくれているように聞こえた。
だけど…そんなことってあるだろうか?だって兵長は…人類最強の兵士で、全兵士の憧れの的だ。そんな兵長が、私みたいな者を相手にするだろうか。…全くつり合ってない。
だけど…大切に思ってくれていると聞いて嬉しくない訳がない。例えそれが恋愛感情とかじゃなくて、普通に上司として部下を思う気持ちだったとしても、兵長にそう思ってもらえただけで私は十分幸せだ。
絶対に生きて帰る。エレンを取り戻す。そして兵長に…また会いたい。
私は敬礼をするようにして、もう一度胸を強く叩いたのだった。