第24章 あなたの横顔は
……どうしてよ。ねぇ…私の方が先に好きになったのに。
入団した時からずっとずっと好きだったの。いつか兵長の役に立てるようにと、死に物狂いで訓練に打ち込んできた。壁外調査でも、地道に討伐数を伸ばして実績を積み上げてきたのに。
それでやっと特別作戦班に選んでもらえて、ようやく、彼の近くに来ることができたというのに。
なのに…どうして、兵長が選んだのは私じゃないんだろう。
私はラウラの事が好き。だけど、兵長を渡したくない。こんな真っ黒な気持ちになりたくないよ。ラウラの事を嫌いになりたくないよ。
だけど、あぁ…どうしたらいいの、この感情を。
私はいつの間にか廊下を走り出していた。頬を伝う涙が、パラパラと廊下に落ちていく。…きっと兵長が見たら、すぐに拭き掃除を始めるはず。
そう思ったらもう前が見えなくなって、私は廊下にうずくまって泣いた。
私の脳裏に浮かんでくる兵長の顔は、不機嫌そうな仏頂面ばかりだ。先ほどラウラに向けたような顔は、どんなに記憶の中を探っても、一つも見つからなかった。