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【戦国BASARA】*月夜の盃*【R18】

第2章 伊達の流儀




そんな政宗に、小十郎は語りかけることをやめない。


「私はずっと落胆していた紫乃に、何の言葉をかけるべきかさえ考えつかずにおりました。しかし、政宗様と対面した途端、あの者の目は闘志を取り戻した。・・・政宗様は、人の心を動かすということをすでに身につけておられるのです。そしてそれは決して考え抜かれたものではなく、あなた様の曲がりなき心根がそうしていること。それこそ、人を動かす天下人として、不可欠なものにございます」

「・・・そんな大層なモンじゃねえよ」


政宗は思った。

ただ自分のしたいことをしただけだ、と。

紫乃を元気づけようなどと思ったわけではない。

ただ、あの者が晴れぬ顔をしているのは、神経にさわる。
ただ、それだけだ。


──しかし政宗は、自分の中に理解し難い感情が生まれていることも気づいていた。

紫乃にかけた言葉とは裏腹に、自分の中に渦巻く黒い感情。

忘れることなどできない。
討ち果たしたはずの松永久秀。

紫乃に屈辱を与えた者に対する、収まりのきかないほどの『苛立ち』。


それは単に紫乃が伊達軍の一員となったから、仲間として感じているものなのか。

政宗はその答えを、未だ見つけられずにいる。


──しかし、そんなことよりも今は目の前にいる敵を倒すこと。

魔王討伐のために動くこと。

今は彼はそれだけを考えることにして、今日も刀を振るうのだった。


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