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【戦国BASARA】*月夜の盃*【R18】

第1章  奥州に忍ぶ







ここは甲斐、武田。

お館様に重大な任務があると仰せつかったので、私はいつになく緊張していた。

武田軍の忍としてもう何年も尽くしてきたけれど、私はまだまだ未熟だ。

特に隊長の佐助様には遠く及んでいない。

しかし今回の任は、佐助様ではなく、他でもない私が単独でご指名いただいたのだ。


「お館様。参りました」

「おお。来たか、紫乃」


呼び出された広間には、幸村様の姿もあった。目を輝かせている。

身分こそ違えど、幸村様は昔からの馴染みの友だ。

いつも気にかけてくれる幸村様は、此度の任務の言い渡しを見守ってくださっているのだろう。


「紫乃、心して聞くのじゃ。お主に重大な任務を与える」

「はい! 何なりと!」

「伊達の軍に加勢するのじゃ」

「なっ・・・」


だから、こんな頭の片隅にもなかった任務を言い渡されて、声を出さずにはいられるだろうか。

これに対し、私よりも先に反論の言葉を発したのは幸村様だった。


「お館様! 何ゆえそのようなことを!? これまで武田に尽くしてきた紫乃に、宿敵である伊達軍に加勢せよなどとっ・・・この幸村、黙って見送る気はございませぬ!」


そして幸村様の言う通りだ。

とてもお受けできない。


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