第12章 【番外編】ニンギョ×ト×クロロ
これから破片を取り除く作業をするのだろうとベットから離れる。
「フェイタンとシャルナークは?」
「アジトに戻したわ。何人もこの部屋に入れないでしょう?」
チェリーの右腕を手に取るとピンセットを持って破片を引き抜いて行く。
『………っ』
「痛いわよね…ごめんなさい」
眠ったまま呻くチェリーに話かける。
「団長も戻って皆にさっき起きた事、伝えといて」
「分かった」
名残惜しい気もするが、ここはパクノダに任せておいた方が賢明だと判断し、くるりと踵をかえした時だった。
『クロロ』
凛とした声が俺の名前を呼ぶ。
『盗品、駄目にしちゃってゴメンね』
力無く笑うその姿に心臓が苦しくなる。
「気にするな。ゆっくり休め」
『ありかとう』
「パク、後は頼む」
「えぇ」
※※※
次会ったらどの様に口説き落とそうかと考える俺はまだ知らない。
次会った時には記憶を失ってる事を。
幼児に退化してしまう事を。
彼女が慈愛深い人魚の女帝である事を。
最強の海の戦士である事を。
~Fin~