《モブサイ》サギ師のあなたに脱がされて (霊幻/R18)
第2章 サギ師のあなたに脱がされて
そのとき、ドアが勢いよく開いた。
「っ!? ゆめか!?」
俺は反射的に立ちあがる。
顔を覗かせたのはゆめではなく、モブとエクボだった。
「師匠、お疲れさまです」
「お、おう、モブ。どうした? 部活じゃなかったのか?」
なんだよ、モブか。俺は息を吐いて座った。なんでドキドキしてるんだ。
「はい、部活が終わって帰るところだったんですけど、今日は師匠のお誕生日なので寄ったんです」
「なに!?」
誕生日?
「あ、やっぱり忘れてました? じゃあ、まだゆめさんからプレゼントもらってないんですね?」
モブは穏やかに笑った。
「ゆめから?」
モブの頭上でふよふよと浮かんでいる上級悪霊のエクボが笑いだした。
「あいつ、霊幻にプレゼントやるって張りきってたぞ。俺様にまで嬉しそうに話しやがって。おまえにプレゼントしたいなんて、ゆめも物好きだな。まだ来てねぇのか?」
ゆめが張りきっていた? 俺にプレゼントを渡すために?
ふと、ゆめのワンピース姿を思いだした。
もしかして俺のために……?
「師匠?」
俺は我に返った。
「あ、いや、なんでもない。寄ってくれたのはありがたいが、あまり遅いと親御さんが心配する。モブも早く帰るんだ」
「はい、ひとこと『おめでとうございます』って伝えたかっただけなので」
「ああ、ありがとな、モブ」
「俺様も来てやったんだぜ!?」
「あー、エクボもありがとな」
ちらりと時計を見る。ゆめが出ていってからまだそんなに時間は経っていない。
「師匠はこれからどうするんですか?」
「そうだな。俺も帰るよ」
PCをシャットダウンすると、ジャケットを取って立ちあがる。
「おいおい、ゆめはどうするんだ?」
エクボが心配そうに眉を顰める。悪霊のくせに。
「ゆめなら大丈夫だ。たぶん合流できる。おまえら一緒に出るか。今日はもう店じまいだ」
ゆめはたしか一人暮らしだったな。まっすぐ帰っているといいんだが……。