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《モブサイ》サギ師のあなたに脱がされて (霊幻/R18)

第2章 サギ師のあなたに脱がされて


「っ!」

「おっ! ねーちゃん、電話鳴ってんぞ! 出ろよ。誰からか知らねぇが500万円持ってくるように頼みな」

タイミング悪すぎ……。

おそるおそる電話に出ると、今一番聞きたい声が聞こえてきた。

『おう、ゆめ。どーした? 大学はまだ終わらないのか? 4時から除霊の依頼が入ってるんだ。来れないのか?』

「れ、霊幻さんっ……」

『あ? なんだ? 泣いてんのか?』

「今、困ってて……」

『は?』

「来てもらえませんか?」

『なんで?』

「おい、ねーちゃん! 早くしろよ! 500万円持ってこさせろや!!」
うしろから男ががなりたてる。

「霊幻さん! とにかく来てほしいんです!」

『……わかった。場所教えろ』


電話を切ると、また怒声を浴びせられた。
「おいおい、ねーちゃん! 早くしねぇと身売りでもしてもらうしかねぇーなぁ? あぁん!?」

「学生とはいえ、もう未成年ではないんでしょ? ちゃんとお金できっちり解決してもらわないとね。社会はそんなに甘くないのよ?」
女性も応戦。

「あの……でも……あなたたちが強引につけてきて勝手に壊れたというか……」

「俺たちのせいってか!?!?」

そのとき、勢いよく店のドアが開き、グレーのスーツを着た男性が颯爽と入ってきた。

「ゆめ。俺を呼びだすなんて何考えてんだ。とっくに依頼者が来てるぞ」

「霊幻さん!」

男たちも振り返る。

霊幻新隆――『霊とか相談所』所長。自称・天才霊能力者。私のバイト雇用主だ。彼の相談所で私は除霊をおこなうアルバイトをしている。少し霊感があるので雇ってもらった。

除霊をおこなうのは、もっぱらアルバイトの私やモブくん。霊幻さん自身はあまり除霊をおこなわない。彼いわく『俺が除霊すると霊能力が強すぎて周りの人間も溶かしちまうからな』だそうだ。溶けるの意味がよくわからないけど。


霊幻さんは携帯電話を閉じて、ポケットに手を突っこんだ。

「で、何があったんだ?」

「ああ? おまえ、この女の保護者か? にしては、若いな。彼氏か?」
紫スーツの男が霊幻さんをジロジロと無遠慮に見回す。

男の言葉には答えず、霊幻さんは店内を見渡した。

「……なるほど」
一瞬で状況を把握したみたいだ。


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