《モブサイ》サギ師のあなたに脱がされて (霊幻/R18)
第2章 サギ師のあなたに脱がされて
「霊幻さん、じゃあ……」
「行っていいんだろ? ゆめの家」
「はい……」
「でも、行く前にちょっとだけ」
ふわりと腕を回され、抱き寄せられる。
嬉しい。私も霊幻さんにぎゅっとしがみついた。ずっとこうしたかったの。
「霊幻さん……好き……」
背中に回された彼の腕に力が入るのがわかった。じんわりと体温が伝わってくる。
「おまえ、そんなにしがみついてくるなんて、けっこう大胆だな」
「だって……」
「まあ、俺もこうやってゆめを抱きたいって思ってたけどな」
霊幻さん。霊幻さん。本当に大好き。
「霊幻さん、いいにおい」
彼のスーツに顔を埋める。
「本当か? おっさんだぞ?」
「おっさんじゃないですよ。20代ならギリOK」
「ギリなのかよ。だめじゃねぇか」
目が合ってふたり同時に笑みがこぼれる。
霊幻さんの手が私の顎を持ち、気づいたら唇が重なっていた。
「んっ……」
たこ焼きの味だ。
ゆっくりと彼の舌が唇を舐め、口内に入ってきた。歯の裏を丁寧になぞり、私の舌を慎重に掬いとる。
霊幻さんらしい静かで隙のないキス――。
甘い金木犀の香りが風に乗って鼻を掠めた。
「ンッ、んん……ぅんっ……ン……っ……」
徐々に熱を帯び、口づけは甘く煮詰まっていく。彼の舌を優しく吸うと、ビクンと跳ねる身体。
霊幻さんも感じてる?
夢中で互いを求めあって、唇を離したときには二人とも息を切らしていた。
「ゆめ……飯作ってくれるのもいいんだが先に……」
熱っぽい瞳がセクシー。こんな霊幻さんはじめて見た。
「霊幻さんでもそんなこと言うんですね」
ふふっと笑うと、恥ずかしそうに顔を歪める彼。
「俺だって男だからな。嫌か?」
「嫌じゃない……」
「なら、早くゆめの部屋に行くか。着くまで待てる自信なんてないけどな」