第22章 決闘
タイムアウト後も相変わらず日向と影山の超速効は決まっていた。けれど、音駒の7番(犬岡)がだんだん日向の動きに付いてくるようになっていた。相手ブロックもずっとサイドに寄っている。
影山(このブロック…エースを徹底マークするためのものだと思ったけど…)
鵜飼(日向の動きの誘導…!?)
2人の懸念は当たっていた。試合中、研磨はずっと烏野の動きを観察していたのだ。そして、タイムアウトの時、研磨は自分の考えた日向攻略法をチームメイトに伝えていた。
研磨「翔陽が前衛にいるときはブロックはみんな右に寄ってみて。見た感じ、翔陽はただ単純にブロックがいない所に真っ先に突っ込んでいくんだ。その翔陽を避けるように他のスパイカーが入ってくる。だから、ブロックを片方に寄せればブロックのいない側に動くと思う。あとはウチで一番すばしっこい犬岡がひたすら翔陽を追っかける。MB以外は翔陽を無視して他のスパイカーに付けばいいと思うよ」
研磨の立てた作戦通り、日向の移動範囲を狭め犬岡に日向の徹底マークをさせることによって、超速効の成功率は下がっていた。打っても犬岡の指先がボールに触れ威力を弱めてしまうのだ。
しかも、研磨はトスを上げると見せかけて攻撃するツーアタック
や、視線フェイントという多彩な技を使用してくる。
研磨は特別バレーが好きではないが、他人が苦手で他人の目を気にするが故、他人をよく観察するのだ。良く観察するから相手の行動を予測することも上手い。
しかし、影山も負けてはいない。フェイントで来たボールを田中がレシーブし、西谷がカバーに入った。その時、影山が手を上げトスを呼んだ。
影山「ラスト!」
日向(影山がトスを呼んだ!?)
影山がトスを呼ぶのは初めてのことだ。日向だけではなく烏野チーム全員が驚いていた。影山は助走を付けて高くジャンプすると、瞬時に敵のいない場所をロックオンしフルスイングした。
狙い通りの場所ドンピシャにボールが叩き付けられる。トスもブロックもスパイクさえも完璧にこなす影山。そのハイスペックに敵も味方も驚き嫉妬した。
影山「オイ!今のがストレートだからな!サイドライン沿い真っ直ぐ!ちゃんとコースの打ち分け出来るようになれよ!」
(流石翔雄……なんでも出来るんだな…)
日向「ぐぬぬ~~っ」