第21章 逃避
その夜、部屋で
日向と影山は布団を敷いた部屋で2年生たちに直接疑をぶつけた。
日向「さっき、旭さんたちとの会話聞いちゃったんですけど…」
縁下「もしかして、逃げた話?」
日向「はい…」
縁下「去年、一時的に鵜飼監督が復帰してたのは聞いてるよね?」
影山「はい」
縁下「その時、その…情けない話、練習について行けない奴が何人か出まして…」
どうやら練習についてゆけなかったのはスタメン以外の2年生らしい。私も影山の隣で先輩たちの話をきいていた
縁下「基本的には優しい主将に甘えてそれまでそれなりに楽しくやってきた部活が、途端勝つための部活になって、ぬるま湯に浸っていた俺たちはびっくりして逃げ出した。でも、やっぱりバレーがしたくて戻って来た時には、鵜飼監督はもういなかった。澤村さんはちゃっかり戻って来た俺たちに目を瞑ってくれた。俺たち情けない2年生だけど、戻って来たからにはお前たちに負けないように頑張りたいと思うよ。だから、改めてよろしくな!」
日向、影山「ハイ!」
大鷲「そんなことが……」
奥で縁下の話を聞いていた私
当たり前だけど、私も含め今試合に出られなくてもいずれレギュラーを取るつもりでみんな頑張っている。日向が試合に出られるのは影山のトスがあるからだ。個人の技術だけでは絶対にスタメンには入れない。
それを改めて感じた日向は、いきなりスクッと立ち上がり走り出した。
影山「ドコ行くっ!?」
日向「風呂!んで寝る!明日もっと早く起きる!」
もっともっと強くなるため早朝練習を決めた日向。そんな日向を影山が全力で追い掛けた。
影山「このクソが!フライングだっ!!」
月島「早朝練はわかるけど、何で風呂に行くスピードまで競うの、バカじゃないの」
山口「見てるだけで疲れる〜」
「あの2人いっつも競争してる……ずるい!!俺も行くっ!!」
月島「君の思考はそっちに行くわけね……って君もほんとバカ」
2人を追いかけようとする私の腕を掴んで止めれば自分が女だということを忘れてると月島に耳元で呟かれる
「あ、そうだった……」
月島に止められた私はハッと我に返ってはみんながお風呂に入るのを部屋で待つ