第21章 逃避
翌日、音駒戦のスターティングメンバ―が発表された。
【前衛】(WS)澤村(MB)日向(WS)田中。
【後衛】(WS)旭(MB)月島(Li)西谷(S)影山。
鵜飼「顔合わせて間もない面子だし、そう簡単に息が合うとは思ってねえ。凄腕のリベロが入ったから、エースが戻ったから勝てるってなるわけじゃない。勝つのは繋いだ方だ。この面子でどれだけ戦えるか?カラスの宿敵ネコと勝負だ!」
部員「あスッ!」
私はというと、田中先輩と交代で入ることになった
そして、練習終了後。複雑な表情で縁下を見つめる旭がいた。それに西谷が気付いた。
西谷「旭さん!」
西谷に突然声を掛けられギクッと身体を硬直させる旭。相変わらず気が弱い
旭「…はい」
西谷「スガさんのことはともかく、縁下とか大鷲に申し訳ないとか思ってるんじゃないですか?」
考えていたことをズバッと口にされ旭が慌てる。そんな気弱なエースに、西谷は腰に手を宛て説教を始めた。
「えっ?!私?!」
西谷「仲良しごっこやってるんじゃないんスからね!強い方がコートに立つ!これ当然です!」
そんな西谷の説教に縁下と私も賛同した。
縁下「あの…、俺、ずっとひたむきにやって来た訳じゃないです。一度逃げ出したこともあったし。だから…」
西谷「心身共にエースより強くなったら、正々堂々旭さんからレギュラー奪いますよ!なあ、縁下も大鷲も!」
縁下「え゛!? そこまで言ってな…」「遠慮なく奪いますっ!!」
縁下「ちょっ、大鷲!、」
西谷「ああ、その前にレギュラー奪われるとしたら先に田中か!ポジション的に!」
田中「上等だ!かかってこいやお前らコラァ!」
縁下「西谷もういいからやめろって!」
「あはははっ、2人に負けませんよ!!」
私はガッツポーズをして田中先輩と旭さんに冗談ではむかう
そんな大鷲や先輩たちの会話を、日向と影山はポカーンと聞いていた。縁下が「逃げ出した」と言っていた意味がさっぱり分からなかったからだ。