第19章 厚情
いつも呼ばない下の名前で呼べば泣いている大鷲の涙を指で取り、柔らかい赤ちゃんのような肌ををスーーッと撫でる
カーテンから漏れている月明かりに照らされた大鷲の寝顔は、いつもより一段と綺麗に見えた
俺は寝ている大鷲に近づいて唇を重ねようとする
「……………」
先ほどの月島との出来事を思い出してイラッとすれば、同じことをしようとしてることにはっと気づいたのか寸前でキスをやめる
(バッ//バカか俺は!!今何しようとした俺?!………)
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さっき菅原さんと話していた昔の話
そのことで泣いてんのか?お前は
さっき菅原さんと大鷲が外で話してるのを聞いた
盗み聞きではないが、大鷲に風呂の状況を伝えようとしたらたまたま話してるのを聞いちまっただけだ
俺はお前を救ってやれないのか?
怪我のこと、病気のことで泣いてる訳じゃないだろ
昔……何があったんだよ……
まだ微かに涙を流して寝ている大鷲の頭を撫で、抱きしめるように大鷲を引き寄せれば隣で横になる
朝になって周りが騒がしかった、気付かないであのまま寝てしまったようだ、田中先輩たちが禁断の愛だのなんだの叫んでいた横では、月島が俺のことをジロリと睨んできたから俺も睨み返した
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「ちょっと……飛雄……寝相にしてはひどすぎ!」
朝起きて朝食に行く途中影山に耳打ちする
影山「ぁあ?!知るかボケェ//」
昨日キスをしようとした事、さらに朝の事を思い出して照れた影山はスタスタと先に食堂へ行ってしまう
「なんだ?あれ……」
照れている影山を見れば不思議そうに思い