第40章 虚無
抱きしめられた私は、フッと気が緩くなり再びベットへと体を倒せば黒尾は私の手をギュッと握りしめて真剣な眼差しで昨日何が起こったのかを1から説明してくれた
黒尾「んで…お前が気を失った後救急車が来て、おばさん達は近くの緊急夜間病院に運ばれたんだ………」
そこで言葉が詰まる黒尾、震える手を握りしめて大丈夫だよと消えるような声で言う
黒尾「………即死…だったって……」
私が家を飛び出した後、両親は私の後を追いかけて探し回っていたらしい、やっと見つけて駆け寄ろうとした時トラックが後ろから迫っているのに気付いた両親は、トラックに気付いていない目の前にいた私を突き飛ばして自ら身がわりになったのだ
「即死……」
その言葉を聞いた瞬間 私の頭の中は真っ白になった、何かを後悔する隙もなく、全ての思い出が吹き飛んだように何も考えられずにいた
カーテンの隙間から見える外は既に雨も上がっていて先ほど嵐が来ていたことすらなかったようにシーンと静寂に包まれ
私はただただ天井の一点を見つめていた
「私が………殺したんだ」
少し開いた窓から風が吹けば
カーテンがふわりと浮く
その隙間から見えた真ん丸い満月は
まるで私の心を惑わすように
掻き乱す様に、光り輝いていた