第28章 魔王
影山「(三年間、一緒のチームだった。けど試合中に…)」
影山が呆然と見つめるその先には―国見の嬉しそうな顔があった
影山「(普通に笑う国見を…今日、初めて見た…なんなんだ…あんた…あんたみたいな人に…どうやって太刀打ちすれば…)」
影山では見せなかった笑顔が、及川の前では見せた国見.だからこそ、痛感してしまった自分との違い.呆然とする影山に私と日向が声をかけるが聞いてない
何回目かの呼び方にはっと影山は気づく
日向「まさかビビっているのか。だっせー」
「どうしたの〜飛雄?怖気ついちゃって!」
笑う日向と私に影山は2人の頭を掴む
日向「大王様が王様より凄いなんて、当然じゃんか!名前的にも、絶対お前より頭とか良さそうだし!」
影山は無言で日向を殴ろうとするが、日向はよけ続ける
「ごめんね、飛雄!次こそはボール、飛雄のとこ上げて見せるからさ、そしたら、後はいつも通り飛雄がベストだと思う攻撃をすればいいよ、」
影山「なんだそれ…上から目線クソ腹立つ!」
影山は日向を殴ろうとするのをやめ私の頭をガシッと掴み、影山の声は怒ったようにも聞こえるが、顔は少しだけ緊張がほぐれて私の頭をわしゃわしゃと豪快に撫でる
菅原「影山!!」
菅原の呼ぶ声が聞こえた
菅原「迷ってんじゃねぇぞ!うちの連中は!」
影山に思い返すように菅原は言葉を発する
——————————ちゃんと皆強い!!!
その言葉を聞いた影山は吹っ切れたように笑う
月島「王様は大王様にビビっちゃいましたかね」
月島の一言に菅原がにやりと笑う
菅原「大丈夫。影山はもう…」
孤独の王様じゃないからね—————
及川「あぁ…嫌だなぁ。本当にやっかい」
烏野の表情見て、つぶやく及川
及川「(飛雄。急速に進化するお前に)…俺は負けるのかもしれないね」
及川「(でも…)」
及川はサーブでわざと前の方にボールを落とす、が、なんとか澤村が上げる
鵜飼「(どうしても身構えて固くなってしまうこの場面で、わずかな穴をねらったフェイント。勝ちをもぎとるための、恐ろしいほどの冷静さ)」