第9章 つんでれアクアマリン【A×O】
【MASAKI】
オフの日に、社長に呼ばれて事務所に行った。
何だろう?社長から話って…
「失礼しまぁ〜す」
社長室に入っていくと、ソファーに松本の姿が…
俺だけじゃなかったんだ。
松本と俺?
何でしょうか?という顔で社長を見ると、
「まあ、座って…」
と促され、松本の隣に腰を下ろした。
松本をちらっと見るとふて腐れた顔でブレスレットを弄っている。
社長も窓の外を見たまま何も言わない。
何だよ?
呼び出しておいて!
俺なんか、ヤバいことやっちゃったか〜?
「社長、何ですか?話って」
思いきって俺から切り出すと、社長の景子さんは大きなため息をひとつ吐いてからソファーに座り、松本を見ながら話し出した。
「実はね、雅紀。この子がとんでもないことをしてくれたのよ」
「とんでもないこと?」
「…そうよね?潤…」
「あれは、あいつも、そのつもりなんだって思ってたし…」
「でも、あっちは違うって」
「そんなこと、何とだって言えるし」
「潤、あなたのそういうところが…」
「ちょっ、ちょっと待ってください!さっきから俺、置き去りなんですけど…」
ふたりの言い争いの内容が全く分からない俺は、堪らず割って入った。すると社長が、
「潤が、レイプしたのよ」
「レ…えっ??」
驚いて潤の顔を見ると、潤は少し困ったように肩を竦めて見せたけど、それほど反省した様子も無く…
「潤、一体どういうことだよ?おまえ、何考えてるん…」
「そういうのOKだって思ったんだ~、それにニノだって、それを望んでる風だったし」
「ちょっと待て…今何て?」
潤はこの日初めて俺を見て、怪訝そうに眉を顰めた。
翔ちゃんの店にイケメンの男の子ばかりを揃えているのは、所謂そういうことも暗黙の了解なんだと、そう思っていた…
潤はそう言った。
現に、ニノは個室に鍵をかけてから、潤のカットを始めたらしい。