第9章 つんでれアクアマリン【A×O】
『知ってます』っていう言葉を飲み込んで。
取り出したカレーパンに
パクリとかじりついた。
「二宮さん、なんで昼メシ食わないんですか?
…って聞かないのかよ~(* ̄∇ ̄)」
この人は。
俺が人と話すのが嫌いだと知ってて
時々こうやって絡んでくる。
ホントにマジで…苦手(。ー`ωー)。
「別に……興味ないんで」
多分俺がこう答えることも知ってて。
「はぁ……なーんでこんなヤツに
翔さんも……相葉さんまで……」
面白くなさそ~に
ロッカーから取り出してたリュックを引き寄せ
手を無造作に突っ込んでゲーム機を取り出す。
「答えはぁ~…めんどくさいしぃ~金が勿体ないしぃ~
太っちゃうからでぇ~す…っと(* ̄∇ ̄)」
少しずんだれるような格好で椅子に身を沈め
ゲーム機のスイッチを入れる二宮さん…
自分を有名人に売り込んでコネ作って
美容師としてノシ上がるためなら
なんの労力も厭わないのに。
それ以外のことには
呆れるほどエネルギーを使わない。
こういうレベルまでくると
なんだか逆に清々しい気さえしてきて
この人とは関わらない方がいい…あらゆる意味で。
という脳の判断を支持して
そのまま放置することにしようと決めたとき
またしてもドアをノックする音が響いた。
「智っ(≧▽≦)!」
嬉しそうな顔して
翔さんが飛び込んできたんだけど
「今夜9時に潤くんの予約がっ…入ったんだ、けど…」
二宮さんもいることに気づくと
尻すぼまりに声が小さくなっていく。
「潤くんて(*゚∀゚*)っ!松本潤くんですかっ?」
手にしたばかりのゲーム機を放り投げて
二宮さんが勢いよく立ち上がった。
「お、おう…」
「俺っ!俺やります!やらせてくださいっ!」
二宮さんの気迫に押された翔さんが
苦笑しながら俺のことを見るから。
俺は口をモグモグさせていたこともあって
無言で『どうぞどうぞ』という仕草を見せた。