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Jewelry♢ボックス【気象系BL】

第9章 つんでれアクアマリン【A×O】



【SATOSHI】


今日も朝から…アッチィーなぁ……


預かってる鍵をジャラジャラ言わせて
店の裏口のドアを開けた。


8時間前もここにいたんだから
泊まりゃ良かったよな…って毎朝思うけど

やっぱ手脚を伸ばして深く眠りたいし

上達するまでは
まだまだ時間外の練習はやらなきゃだし

どっちも必要なんだから仕方ねぇよな…
ってことも毎朝思ってる。


はぁぁ…8時間前に帰った男が
また来ましたよ、っと……

さっき消したばかりに思える電気のスイッチを
また自分の手でつけていく。

それから
とりあえずエアコンをつけて…

店内をガンガンに冷やしてから
ブラインドを上げるようにしてる。

じゃないと
南向きで日当たりの良すぎる店は
この時期なかなか冷えてくれないからな…



ここは…

南青山の大通りに面した
芸能人も沢山やってくる有名なヘアサロン。

俺、大野智…の勤め先。

去年の春に専門学校を卒業してから
ずっと世話になってて…

ひたすら
先輩たちのカットした髪の掃き掃除と
カラーやパーマの補助とシャンプーと
電話の予約受付と会計…そんな裏方と

あとは早朝や深夜のカットの練習…

これらに明け暮れる日々だったんだけど。

ようやくこのGW明けから
クセのない髪質のお客さんの短いカットを
任せてもらえるようになってる。


これが…
思ってた以上に嬉しくて。

もっともっと上手くなりたくて。

あんま喋るのが得意じゃないから
自然に先輩たちとも距離をおいてるんだけど

そんな俺のことを『智、智…』って
可愛がってくれてる翔さん←店長ね
に早く恩返しがしたいってのもあって。

真夏になった今も
カットの練習はずっと続けてる。

昨夜も無心で没頭していたら
0時近くなってしまったから

慌てて後片付けをして飛び出して
終電のラス前くらいに滑り込んだ感じで…

ホントはもう少し近くに

つか…
電車に乗らずに往復できるとこに
住みたいんだけどね…

そんなこと
ペーペーの俺にはまだまだ無理な話…


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