第3章 【黒尾】憂鬱な猫は空を見上げ★
あっけらかんとそう語る彼女を見て、正直拍子抜けだった。
自分の中で、絡まってた糸を両側から引っ張ったら手品みたいに、ピンと真っ直ぐに解けたような。そんな感覚。
「不安になんないでよ。鉄朗はさ、いつも余裕で私を包んでくれなきゃヤダ。」
「俺の方が年下なんですが?オネエさん。」
「関係ないの。そーゆうのは。」
が俺を彼氏だと言う。
好きだと言う。
きっと答えはずっと単純なんだと思う。
「まったく、、、世話がやけるんだから。」
彼女に腕を引かれ、再び星空が視界いっぱいに広がったかと思うと、今度はが俺に覆い被さり空を遮る。
ドクンッ、、、ドクンッ、、、
の髪が降りてきて、ホワイトジャスミンの香りが鼻をかすめ、胸が高鳴ってうるさい。
「好きだよ。ずっと一緒にいて。ね?」
「、、、、、、ごめん。ちゃんがこんなこと言うの珍しすぎるから、もう一回お願いします。」
「ばか。」
合わさる唇。
薄く瞼を開けると
彼女の向こうに広がる満点の星空。
双眼鏡なんかなくても
答えはきっといつも近くにあって。
だからこそ、時には見失って。
きっとこれからも
寂しさとか、幸せとか、
色んな気持ちのやりどころを
2人で探しながら
続いていくんだと信じてーーー。
fin.