第12章 【国見】雨粒の子守唄
「後悔するなよ?」
『···しない』
こんな展開、ぶっちゃけ期待なんてしてなかった。
のに。
だからこそ。
据え膳食わぬは男の恥···とか?
「じゃあ···遠慮なく」
『う、うん···なに?』
いつかは、1度してみたいと思ったコト···それは···
「膝枕」
『え?』
「だから、膝枕して」
『ひざ···まくら、ですか?』
なんで敬語なんだよ。
「彼女が出来たら、1度はやってみたかったから」
早く、と先に床に座りそばに来るように手招きをする。
念願の膝枕に、ちょっとドキドキしてきた。
『もっと···違うことお願いされるのかと思ってた』
「違うこと?今後の参考に聞いとく。で、なに?」
『あ、それは大丈夫!今のはなしで!』
「あっそ。じゃ、早く座って膝枕して?」
おずおずと座るに、お邪魔しま~す···なんて言いながら頭を乗せる。
ヤバい···予想以上の柔らかさだ。
それに、ここから見上げる景色も···なかなか。
普段体験することのない目線に浸りながら、恥ずかしそうに目をそらすの顔に手を伸ばす。
「ちょい、屈んで見て」
『こう?』
「ん···そう」
縮まる距離に更に手を伸ばして、の頭を引き寄せ···触れるだけのキスをした。
『ちょっ···不意打ちのキス禁止!!』
「じゃ、今からもっかいしマース」
『宣言するのもな···んっ···』
何を言っても切り返されそうだったから、今度はちょっと···長めのキス。
そっと唇を解放すれば、目の前には真っ赤になったの顔。
『···ばーか』
「はいはい。じゃ、おやすみ」
『えっ?!おやすみ?!』
「部活でお疲れモード。ちょい寝かして」
あふ···と欠伸をひとつして、目を閉じる。
まだ降り続ける雨の音が···更に眠気を誘う。
サラリと撫でられる感触に、口元か緩む。
目が覚めたら、雨···やんでるといいな···
そんな事を考えながら、睡魔に飲み込まれていった。
~ END ~