第12章 【国見】雨粒の子守唄
「「 オツカレっした!! 」」
練習の締めの挨拶を聞いて、やっと終わったか···と息を吐く。
まだコートの中で片付けをしてる “ フリ ” をしながら周りを見回せば、体育館の見学通路からオレに小さく手を振る姿が見えた。
夏休みになってからあんまり構ってやれないのが気になったから、昨日の帰りに、明日は午前中練習だけだから午後は寄り道しながら買い物でもすっか?と言えば嬉しそうにしてたのを思い出す。
なかなかカワイイとこあんだよな、アイツ。
「国見、帰りにメシ食って帰ろうぜ?」
ボールケースを押す金田一が、腹減ったぜ···と漏らしながらオレを見る。
「あ、悪ィ。オレこの後用事あんだわ」
言いながらの方を軽く指させば、それを見て金田一も振り返る。
「用事?···あ、なるほどな」
「ま、そゆこと」
メシはまた今度な?と言って金田一の肩を叩き、着替えるために部室へと急いだ。
「悪い、待たせた」
部室棟の下で柱に寄りかかるに声を掛けると、オレの顔を見てパアッとした笑顔を向けてくる。
つーか、子犬みてぇ。
どっかに飛んで行っちまいそうなほど振り続ける尻尾が見えるわ。
「で、どうする?とりあえずメシ行くか?」
『うん!お腹空いたぁ』
「お前、練習見てただけなのに腹減るのかよ」
『減るよ!』
たわいもない言葉を交わしながら歩き出し、行き慣れたファミレスへで涼を取りながら昼メシを食べた。
その後はの行きたい所へ行っては買い物に付き合って、服を見たり、雑貨を見たりしながらあちこち寄り道して歩いた。
『すっごい楽しかった!でも、練習で疲れてたのに良かったの?眠くない?』
「今更。それに眠かろうと今日はお前の行きたいところに付き合うって約束してただろ?」
とか言っては見るものの。
ホントの所はスゲー眠くて、歩きながら何度もあくびをかみ殺してた。
『じゃあ、さ?私はもう満足したから、あとはお家デートにしよ?』
「あ?お前はそれでいいのか?」
つーか、オレん家なんか行ったらガチで寝ちまいそうなんだけど?
『何だか変な空の色してるし。それにもし英が寝ちゃっても、家なら問題なし!勝手知ったる···だからさ?』
「じゃ、オレん家に移動な?」
『おやつも買ってこー!』
「まだ食う気かよ」