第11章 【赤葦】溺れる街★
「好きです、、、」
「私でいいの?」
「さんが良いです。」
離した唇はまた引き合う様に重なり、次第に求め合う様に深く、深くなっていく。
濡れた身体が冷えない様に抱きしめ合いながら、俺たちは降りしきる雨も忘れて、たくさんキスをした。
「んっ、、ふ、、、っ、、あかーしぃ、、、」
「ん?何ですか?」
「エッチなキス、だね、、、」
「、、、そりゃあ、アンタ。こんな下着透けさせた人を前にしたらそうもなりますよ。」
「そう言えば私、傘持ってたんだった。」
「ソレ、今言います?」
「あはは!」
「まぁ、もう傘の出番はなさそうですけど。」
見上げたビルとビルの隙間から見えるのは、青空。
思い出す様に鳴き出す蝉。
表通りに出ると雨粒をまとった街は、夏の太陽を浴びてキラキラと輝いている。
「今日はすぐ止んで良かったねー!」
「そうっすね。」
「帰る?」
「このまま帰るつもりですか?」
「え?」
「まったく、、、。コレ、貸すんで着替えて下さい。ほら、コンビに戻りますよ!」
俺はエナメルのバッグから取り出した部活用のTシャツをさんに押し付け、再びコンビニに戻りトイレで着替えさせた。
「赤葦。コレ、やっぱデカイでしょ。」
「、、、、いや。寧ろジャストサイズです。」
スカートの裾が少し覗くくらいな、サイズの合わない俺のTシャツを着た彼女は、なんていうか、、、、堪らなく可愛かった。
「ねぇ、なんかエロい目で見てない?」
「そりゃあ、見てますよ。俺の彼女でしょ?」
「うっ、、、、」
「はい、コーラ。コレ飲みながらのんびり帰りましょう。」
「さっすがあかーし!!」
「だから、ソレ木兎さんの言い方。」
彼女が着替えている間に買っておいたコーラのペットボトルを手渡し、俺たちは外に出た。
隣り合って歩く距離は、
昨日より少しだけ近い。
fin.