第10章 【白布】君の合図で始まる夏★
川西のパーカーを揺らしながら、私の前をスタスタと歩く賢二郎の少し後を追って、私たちはパラソルの場所まで歩いた。
「ねぇ、賢二郎、、、。ごめんね、さっきは。」
「ぼーっとしてんなよ。」
「うん、、、。」
私を庇う賢二郎のセリフ。
私が告白したの、ちゃんと受け止めててくれたんだと思うと、ちょっと嬉しくて、胸の奥がくすぐったくなる。
「。」
海辺の雑踏の中でも通る、凛とした声。
振り向いた涼しげな視線が私を捉える。
「今なら付き合ってもいい。インハイ終わったし。」
「、、、え?」
「どうすんの?」
「、、、いいの?私が彼女でも?」
「うるせーな。、、、いいっつってるじゃん。」
ふいっと目をそらすその顔が少し赤くてーーー。
再び振り返り歩き出す彼の所まで駆けて行って、今度は肩を並べて歩く。
白い砂浜に足を取られながら。
どちらからともなく、手を繋いだ。
fin.