第39章 【黒尾】さようなら、またイツカ。★
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「鉄朗は、なんてお願い書いた?」
「んー、内緒。」
「なんでよ!」
「見せたら叶わなくなる気がするじゃん。」
「そうかなぁ?私はね、どんなに離れ離れになっても、また鉄朗に逢えますようにって書いた。」
「可愛い。」
「もう!なんか馬鹿にしてない?」
「してないでしょ。」
それから俺たちは川縁まで行って、あかりの灯った灯篭をゆっくりと水面に浮かべ手を離した。
ゆったりと、沢山の願いが暗闇の中を漂い、月明かりに照らされた水面はキラキラと無造作に揺れる。
「、手繋いで。」
「ん。」
「今日、楽しかったな。」
「ん。」
「すげぇ、デートした。」
「うん。私も楽しかった。」
「セックス、すげぇよかったし。」
「、、、、ん。」
「もしさ、」
「ん?」
「俺の子供産まれちゃったらどうする?」
「、、、え?」
「出したじゃん、中に。」
「鉄朗と結婚する。」
「マジ!?」
「うん。」
「あ゛ぁーー、、、一緒に居たいなぁ。」
「うん。ねぇ、鉄朗。」
「ん?」
「私の事、覚えて居てくれてありがとう。」
「あたりまえだろ。」
「好き。」
「何度言ったか分かんないよな、今日1日で!」
「なぁ、俺たちが流したのどれだろうな。」
「もう、だいぶ、、、、向こうまで流れたかな。」
「、、、、、、あ゛ぁーー、、、くっそ、、」
「、、、、、」
「、、、、、ありがとな。」
食べかけのりんご飴が
ぽとりと地面に落ちていた。
fin.