第35章 【北】お祭り騒ぎがくれたモノ [R18]
『信介?
お茶入ったで?』
「ああ、スマン。
ボーッとしてた」
の声に
我にかえり顔を上げると
『信介も疲れたん?』
昨日の妖艶さが嘘の様な
少女の様な笑み
「せやな…昨日頑張り過ぎた
でもお前のその顔で
回復するけどな」
小さな身体を引き寄せて
昨日付けた赤い華に
唇を寄せてみる
『ま、またそんなん言うし!
ご飯食べて早く行かな
会社に…』
「まだ、余裕やろ?
朝飯前に運動も悪くないんちゃうか?」
『デザートって発想は?』
「んー…」
「『ない(ねんな…)』」
”分かってるやん”と笑う俺に
”分かるわ”と言いつつ
視線を合わせてくる
せやな
”分かる”じゃ足らん
伝え合う気持ち良さを
重なり合う快感を
知った俺らは
「、食べたい」
『ん、食べて』
「ほな、遠慮なく」
朝日に背を向け
「『頂きます』」
声と手と心を重ね合った