第35章 【北】お祭り騒ぎがくれたモノ [R18]
「え?侑もっと絡まれろよ…
写メ撮りわすれた…」
「角名、空気読めや。
北さんは二人きりになりたい
言うてはんねんで」
「治!お前ホンマ黙っとれ!
スンマセン!ごゆっくり!」
治と角名の首根っこを掴んで
去って行く侑に目を丸めて
「慌てんでもええのにな?」
四人を隣で見送るに
声を掛けた
『せやね…
信介はこんな事で怒ったりせんのにねぇ
ほな、行こか!
花火の場所早く取らな!』
俺に笑いかけ
手を引く
アイツら相手に
そない簡単に怒ったりせん
確かにそやけど
「せやな。
腹は?減ってへんのか?
なんか買うてから行くか?」
『…あ、うん。
せやねぇ…エエね。』
モヤモヤせえへんとは
言うてへんし
「なんや?遅れたん怒っとる?
笑顔足りんやん」
さっきまでの笑顔が消えてるのを
気にならへんなんか
言うてへんで?
『…別に…ただ…』
「ただ?」
『…なんもない!
行こう!花火一緒に見たいねん!』
ニコリと笑うの顔は可愛い
可愛いけど…
「待ち。
言いたい事あるなら言えや」
それちゃう
俺が見たいんは
いつもの笑顔
モヤなんかぶっ飛ばす
俺の一番好きな顔や。
『…ちょ…信介…花火…』
「が
チャント言うたらスグ見にいける
言わへんかったら…
…聞き出すけどエエか?」
積もったモヤモヤに
チリッと火が付き
『え?信介!?
こんな所で…何言うて…ンン!?』
「そんなん聞いてへん
何考えとるん?
アイツらに見せて売り切れか?
アレは俺の…ちゃうん?」
ジリジリとその火を抱えて燃える
塞いだ唇を離すと
『ちょ…信介…それって…』
鳩が豆鉄砲食らったみたいな顔
それも可愛いけど
やっぱりアカン
「嫉妬や。アカンのか?
俺が妬かんとか思ったか?」
モヤモヤは晴れへんねん。
知ってるはずやろ?
俺がどんだけ
お前を好きか。
『ま、待って!
なんか頭パンク…!』
「待たへん…」
『信介!アカン〜!』
強引に引き寄せた身体が
押し返され
『あ、あんな!
実は…!』
の口から
モヤモヤどころか
色々吹っ飛ばす言葉がこぼれ落ちた
どんな言葉…って?
それは…