第31章 【孤爪】悪いのは君が可愛いせい。[R18]
ひたすらに熱い夏。
やっと少しだけ暑さが引いてきた午後6時に私の部屋のチャイムは鳴り響いた。
はいはい、とまた聞こえない挨拶をしながら玄関に向かうと、いるのは年下彼氏。
「部活お疲れ様、研磨。」
「ありがと。ちょっと着替えしてもいい?
このジャージ目立つ…」
「いいよ。お祭りまで時間あるしシャワー浴びてきたら?」
お邪魔しますと室内に入って行く研磨の背中を目で追いながら、私は飲み物を準備した。
…って研磨さんスルーですか。
本日は、付き合って初めてのデート。
近所の花火大会に行く予定。
デート…だし、少しでも可愛くみられたいなとチョイスした今回の浴衣。
白地に大きな赤い牡丹。縁取りの黒がぐっと締めてくれるようなこの浴衣に一目惚れした私は、親に頼み込んで購入。
そして、髪型もメイクもネイルも浴衣仕様なんですが…
ちらりと目線を私に向けてから中に入っていった研磨。
少しくらい褒めてくれてもいいじゃない…