第24章 【孤爪】その雫をひと舐め [R18]★
私を上から見下ろす研磨の髪が揺れ、彼の額からこぼれ落ちた汗は私の頬に落ちた。
ゲーム以外には何も興味なさそうな研磨が、猫の様な鋭い目で私を見つめ、ペロリと舌なめずりをする。そんな今まで知り得なかった彼の一面に、私の鼓動はドクンドクンと音を立てた。
「何驚いてるの。」
「べ、べつに、、、」
開け放たれた窓の外から、夏の空気がジワジワと押し寄せて来る。呑気に首を振る扇風機が時折頼りないそよ風を送ってくるが、明らかに役不足。
そんな中、ご立腹な研磨にベッドに押し倒された私は、違う汗をかいていた。
事の始まりは10分前。
真夏だというのにエアコンが壊れて、どうしようもない暑さに見舞われていたのがきっかけだった。
「研磨ぁーー、、、暑いよぉーー、、、」
「だから帰ればいいじゃん。」
「そんな言い方しなくてもいいじゃん、、、なんで壊れちゃったのよ、エアコン、、」
「知らないよ、、、余計暑くなるから黙って。」
「じゃあ、少しは私に構ってよ、、、」
「今イイトコ。」
研磨は暑さに負けて後ろ髪をヘアゴムで束ね、私の言葉を適当にあしらいつつ、黙々とテレビ画面に集中しながらコントローラーを操作している。
うなじにじんわりとかいた汗がなんだかやらしくて堪らない。私はベッドに腰掛けるその猫背な背中に抱きついた。
「、暑いから離れて。」
「やだーー!」
研磨の事好きだって自覚した時点で、甘い恋人っぽい時間なんて皆無だと言う事は覚悟の上だった。
周りの友達たちが次々とキスをしたり、初体験を済ませていくのに自分の彼氏といったら、一緒にいてもゲームばっかり。
どうしてもキスがしたい!エッチがしたい!って言うわけでもないけど、やっぱりたまには恋人っぽい雰囲気が欲しいというのも本音なわけでーーー。
「研磨のバカ!!!」
私は一向に取り合ってくれない研磨とどうしようもない暑さに嫌気がさして、無理やりゲームのコントローラーを引っ張り取り上げた。しかしそれだけのつもりが、コードで繋がった本体まで収まっていたテレビ台から落っこち、電源ケーブルまで抜けてしまいプツンと音を立てテレビは暗くなる。
一瞬の間。
「あ、、、研磨、ごめ、、
ドサッ
そう言いかけた瞬間、研磨は私をベッドに押し倒して馬乗りになった。