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《HQ》真夏の条件 〜夢短編集・夏〜

第23章 明燐【黒尾】そして陽炎は夢から覚める。[R18]




「んっ…あぁ…!くろ、おく……っ!」
「はぁ……っ、もっと聞きてぇけど、もちっと我慢な…声…」
「んん…っ!む、り…ぃ…っはぁん…!」

黒尾くんがグラインドを繰り返す度に彼の汗がポタリと滴る。

「も……イく……っ!」
「わた、しも…っ、んっ…あぁ…っ!!」


私のお腹へと放たれた、彼の熱い精。

ぼんやりとその様子を眺めながら次第にクリアになっていく頭が警鐘を鳴らし始める。



これは、夏の暑さにあてられた二人の過ち。

これは、陽炎のように頭から消さなくてはならない。

でも私は…彼の匂いを知ってしまった。



「…、名前…下の名前、なんてーの?」
「…え、あ……………です」


「、か」


そう言えば、私も黒尾くんの名前、知らない。
それなのに私たちは…。

俯いた私の肩にシャツを掛けながら黒尾くんは優しく微笑んだ。



「、俺は夏のオモイデにする気はねーよ?」

「……え?」

「泣きそうな顔してる」
「………っ、」

そっと彼の指が私の目元を撫でる。


「俺は割りと直感信じるタイプよ?」

さっきの優しい微笑みとは違う、不敵な笑み。
それにつられて、私も笑みを返す。

自信に満ち溢れたこの表情を信じられない筈がなくて。


「私も、信じる…直感」



目眩を起こしそうな暑い部室で、私たちは今日何度目かのキスを交わした。






END.

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