第7章 タイムリミット
シエルが怒鳴っていた。
「…」(シエルは…私の記憶に対して…何か知ってる…?)
「ですが坊ちゃん、ご自分の過去だというのに知らないのは」
「うるさい、僕に口答えをするな。命令だと言ったはずだ。」
「…申し訳ございませんでした。ですが坊ちゃん。ではなぜ、ナツキにアルバムをお見せしたのですか?」
「!…」(アルバム…。)
シエルは私にアルバムを探させて、自分では探していなかった。つまりあれは、わざと私に見つけさせたということになる。
シエルは喋らなかった。
「…坊ちゃん、ですが彼女にはいずれバレます。」
「…あぁ…わかっている。だが、アイツが過去を知るのは…まだ早すぎる。パニックを起こしかねない。」
「はい。」
「図書室に置いてあった資料を回収しろ。そしてこのことにはもう触れるな。」
「yes、my load。」
セバスチャンの足音が近づいてきたので、私は急いで図書室に戻った。
「…どういうこと…?」
不思議と息が荒くなっていなかった。
「…シエルは…何か知ってる…?」
「しっかりと聞いていたようですね?」
「!…」(もう…戻ってきたの…?)
「坊ちゃんのご命令ですので、私はこれ以上、あなたのお手伝いをすることができません。」
そう言い、資料を回収しようとしたセバスチャン。
「待って。」
せめて、その資料は読んでおかないと困る。私は資料に急いで目をとおした。
「!…」
信じられないことばかり書いてあった。見開いた目を閉じることができなかった。
「私は……
1度死んだ人間なの…?」