第7章 タイムリミット
「あ…あの…。」
「はい。」
「えっと……戻らなくて…いいのですか…?」
沈黙に耐えられなくなり、私は正面に座っているクロードに話しかけた。あのあと、クロードは図書室から出ていくわけでもなく、私の正面に座って、私の方をじっくりと眺めていた。
視線が気になり、調べるものも調べられない。
「まだ時間がありますので。」
「…あ…あの……あと……敬語…いらないです…。」
「…なぜですか?」
「な、慣れていないので…。」
「…あなたがそれがいいと言うなら、そうする。」
「は、はい。」
私はこの人が苦手だ。なぜだかわからないけれど…。そしてこの敬語を使わない。という約束が守られることはない。ということを後々知ることになる私。
「…」(き…気まずい……セバスチャンさん…!!)
心の中で助けを呼ぶけど、来るはずもなく……。
「痛っ…。」
「!…」
私はまた紙で手を切ってしまった。でも少ししか血は出ていなかった。すると、クロードがまた私の切り傷を舐めた。
「っ…!」(また…。)
気づいたことがある。血を舐めているとき、瞳の色が真っ赤になる。
「やっ…やめてください…!」
私は手を引っ込めた。
「あなたは…ここの使用人ですか?」
「え…そ、そうですけど…。」(敬語に戻ってるし…。)
「そうですか…。」
私は立ち上がり、本やアルバムなどを片付けた。この人がいては集中できない。
「私、もう戻ります。クロードさんも、お戻りになられますか?」
そう聞くと、クロードは私に近づいてきた。