第1章 パーティー
伯爵を見ていると、目が合ってしまった。私は小さくお辞儀をした。すると、伯爵が微笑んで、小さくお辞儀をしてくれた。
「ファントムハイヴ伯爵、少し私とお話しませんか?」
「…はい、ぜひ。」
「ありがとうございます…!」
すると、姉はこちらを向き、目で指示をした。「もういいから。」そう指示をされた。
私は姉から離れ、2階へ行った。そして窓の外を眺めていた。
「ワインはいかがですか?」
「!…」
いきなり話しかけられ、驚いてしまった。黒い髪、吸い込まれそうな赤い瞳に、シワ1つない燕尾服を着ている人だった。整った顔をして、イケメンとはこのことを言うのだろう、と思うほどだった。
「っぁ…い、いただきます…。」
「はい。」
ニコリと微笑むその人。ウェイターではなさそうだった。どちらかというと、執事。
私はワイングラスを受け取った。お酒は飲んだことがない。もう飲んでも良い歳なのだが、飲ませてもらえなかった。
今は17歳。
「ありがとう…ございます…。」(執事さんとくらいなら…話しても大丈夫…だよね…。)
姉の方を見ると、まだ伯爵と話していて、こちらを見ていなかった。
「坊ちゃんとお話していらっしゃるのが、あなたのお知り合いの方ですか?」
「!…あ…えっと…姉…なんです…。」
「そうでしたか。」
「はい…。」(坊ちゃん…。てことは…伯爵の執事さん…。)
伯爵は右目に眼帯を付けていた。