第20章 惹かれる
「っ…!?」
「先にお客様がお見えになられていましたので、ファントムハイヴ流のおもてなしをさせていただきました。」
ニコリと笑みを浮かべるセバスチャン。
「うっ…嘘よ…!だって彼は…彼は優秀なスナイパーで…」
「はぁ…もういいですか?つまらない会談をもっとつまらなくする気ですか?」
「っ…!」
「めんどくさい。」
「アンタ…みたいな……アンタみたいなガキにはわかりっこないのよ!!どれだけ私が苦労してここまで来たか!!」
「…」
「ここに来るまでに体も売ったわ?色んな男に媚び売って、ようやくここまで地位を築き上げてきたのよ!!アンタみたいな何の苦労もないクソガキなんかと私は違うのよ!!大人をなめんじゃないわよ!!」
「……で?」
「!…」
「言いたいことはそれだけ?」
「なん…ですって…?」
「…もう無いようでしたら、お引き取りください。死因は出したくありません。」
「アンタが…私と契約を結べばこのまま帰ってあげてもいいわ?お、おとなしく大人の言うことを聞くべきよ?」
震えたまま言葉をツラツラと並べる彼女。
「…はぁ…。」
私は呆れてしまった。正直、この人は話が通じる気がしない。
「セバスチャン。」
「はい。」
「玄関まで案内を。」
「かしこまりました。」
「ちょっ…!待ちなさいよ!!」
私はセバスチャンが用意してくれたスープをスプーンですくって飲んだ。