第1章 パーティー
「ん…ぅ…。」
体中が痛い。痣だらけの体。幸い、顔には傷1つない。この屋敷に来た人達や街の人達に暴力を振るっていることがバレてしまうから、だと言い、顔には暴力を振るわれることはなかった。
私は家族から嫌われている。ヘンリーという姓がつく者は皆、瞳の色が緑色。髪の毛は黒。それなのに、私だけ瞳が青。肌の色も血管が浮き出そうなほど白い。
気持ち悪がられた。髪の毛の色は皆と同じ黒。でも、瞳の色が違うだけで、私はこの家族から嫌われている。
私には姉がいる。ソフィア・ヘンリー。という姉が。
「…おはよう…ございます…。」
「…」
「…」
当然、挨拶は返ってこない。しばらくして、姉が起きてきた。
「おはようございます、お父様、お母様。」
「おはよう。」
「おはよう~、ソフィア。これ、届いていたわよ。ファントムハイヴ伯爵からよ。」
「え!?ホントに!?」
それは、ファントムハイヴ家からのパーティーの招待状だった。
私の方をチラッ…と見て、ニヤリと笑みを浮かべた姉。自慢したいのだろう。
私は食事を終え、部屋に戻った。姉の自慢話など耳にタコができるほど聞いてきた。もう聞き飽きた。
「…痛い…。」
昨日は酷く殴られ、蹴られた。仕事が上手くいかなかった父は、私に暴力を振るい、そのストレスを減少しているのだという。
ベッドなんてものはなく、床で寝る。何もない、小さな小さな部屋。
「…はぁ…。」
「ナツキ。」
「!…」
珍しく、母が私の部屋に来た。
「なんでしょう、お母様。」
「あなたもパーティーに行きなさい。ドレスはここに置いておくから。いい?ソフィアの引き立て役として行くのよ?余計なことはしないで。」