第17章 1日
「…自分で…着れます…。」
「さようでございますか。」
そう言いながらも着替えを手伝ってくれている。
「っ…セバスチャン…!自分のことは自分でやるから…!」
「はい、かしこまりました。」
と、言いながらも手伝っているし……。
「…」(この人は本当に言葉が通じるのかな…。)
そう思いながら食卓へ向かった。
「本日の朝食は、生ハムとグレープフルーツのサラダ、ポーチドサーモン、根菜のスープとクロワッサンをご用意いたしました。」
シエルと机をはさんで向かい合わせになって座った。私にも同じメニューを用意してくれた。
「ナツキ。今日は何をする予定なんだ?」
「…特には…決まってない…けど…。」
「なら僕の仕事を手伝ってくれ。」
「わかった。」
「いけません坊ちゃん。ご自分のお仕事は、ご自分でなさらないと。」
「うるさい。」
セバスチャンを睨みつけるシエル。
「…そうだ、シエル。」
「ん、なんだ?」
「セバスチャンのお世話は、私はいらない。」
「…なぜだ。」
「自分のことは自分でやるから。」
「ダメだ。」
「!…どうして?」
「お前は危なっかしいからな。」
「…そんなことない…。」
「ある。」
反論は認めてくれないらしい。